この記事は、現在ピアニストの「yurika」様に執筆していただきました。
yurika様はYouTubeでも動画を投稿しているので、是非見てみて下さいね!
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こんにちは、Yurikaです。
日本の音楽大学を卒業したのち海外の音楽大学院へ留学し、大学院を修了した現在は海外でピアニストとして活動しております。
今回は、そんな私が音大ピアノ科に入るための実技試験の課題曲や、準備方法などについてご紹介したいと思います。
参考になれば嬉しいです!
音大ピアノ科のための必要な課題曲とは!?
まず大前提ですが、あくまでも私の経験談になるので情報が変わっていることがあると思います。
最後は必ずご自身でご確認してくださいね。
結論は、下記になります。
- 「平均律クラヴィーア曲集」第1巻、第2巻より任意の1曲-J. S. バッハ
- 「エチュード」(ショパン、ツェルニー、モシュコフスキーなど)
- 自由曲
- 直前に出る課題曲(限られた大学のみ)
それではいきましょう!
①J. S. バッハ 「平均律クラヴィーア曲集」第1巻、第2巻より任意の1曲
これが一番大事な課題曲ですね。ほとんどの音大がバッハの平均律を課しています。
音大を目指すための課題曲、というより、音楽を勉強したいならバッハは絶対に弾くことをオススメします。
このバッハの曲は「音楽の父」と言われているだけあって、音楽の基礎を学ぶにはうってつけなのです。
私が中学生だった頃、テスト勉強の時期で忙しかった時にピアノの先生から「忙しかったらエチュードは練習しなくてもいいからバッハだけでも弾いておいてね」と言われました。
いきなり平均律から始めるのではなく、
インベンション(2声)→シンフォニア(3声)→フランス組曲、イギリス組曲→平均律
の順で始めると効果的に勉強ができると思います。
私は割と早くからバッハを始めて、高校3年生になった時点で平均律1、2巻合わせてほとんどの曲を1回は弾いていました。
これは大学に入ってから勉強することになりますが、音大では「和声」という授業があります。
和声とは音楽理論の言葉で、ハーモニーの進行や配置を勉強するのですが、このハーモニー進行を頭に入れることで曲の構成を理解することができます。
またそれによって、アーティキュレーション(強弱や表情)を自然につけることができるようになります。
バッハの作品はその和声にしっかりと基づいて作られているので、バッハはすべての音楽学習者が通る道なのです。
さらにここに書ききれないほど、バッハを学ぶメリットはたくさんあります。
そのお話は、また次の機会に。
バッハをさらうのにオススメの楽譜
おそらくこれが一番メジャーな出版社↓
こちらは強弱記号やアーティキュレーション(強弱や表情)が書かれていて、初めのガイドブックとしてオススメ↓
②エチュード(ショパン、ツェルニー、モシュコフスキーなど)
選べる作曲家は志願する大学によって異なりますが、たいていショパンエチュードを課題曲として2曲弾くことが多いです。
ちなみに、私は「ツェルニー→クラマー=ビューロー→モシュコフスキー→ショパン」の順で始めました。
ツェルニーなどの古典派の練習曲も良いですが、今後ロマン派のものを弾くとなるとロマン派のエチュードも弾いておきたいところです。
エチュードをさらうのにオススメの楽譜
慣れるためにまずモシュコフスキーから始めてみるといいと思います。これもショパンエチュードに負けず劣らず、美しい曲が多いのでオススメです。
ツェルニーは30番、40番と初めてからこちらに取り組むのがオススメ↓
ショパンエチュードの導入としてオススメ↓
さらに、ラフマニノフやドビュッシーなどの後期ロマン派の技巧的なエチュードを、課題曲として弾かされることもあります。
③自由曲
完全に自由で分数指定のみの大学もあれば、細かく曲の指定がある大学もあるので、併願受験をする場合はレパートリーの中からうまく組み合わせられるよう検討する必要があります。
⑴古典派ソナタ
主にベートーヴェンのソナタ全楽章をよく弾かされ、ハイドンやモーツァルトからも選べるところもあります。
併願することを考えると、「ベートーヴェンソナタ」を選ぶ方が無難だと思います。
⑵ロマン派
ショパンやシューマン、ブラームス、リストなどロマン派から一曲以上弾くことを求められます。分数指定は大体10分前後が多い模様。
ちなみに私はメンデルスゾーンの厳格なるヴァリエーションを用意しました。
⑶近現代
ドビュッシー、ラヴェル、ラフマニノフ、プロコフィエフなど近現代から一曲以上弾くことを求められます。
④直前に出る課題曲(限られた大学のみ)
調べてみたところ近年は実施されていない模様ですが、私が受験した年周辺では課されていました。
譜読みや曲を仕上げる能力のスピードを測るために、大体入試1、2ヶ月程前に発表されます。
もちろん受験する人がみんなさらったことがないようなマイナーな曲が選ばれるので、対策として、私は過去に出された課題曲を同じスパンで(1、2ヶ月)で仕上げる練習をしていました。
課題曲に対する準備方法とは?
以上が実技試験の課題曲の内容でした。
では次に準備はどのようにすれば良いのか、合格しやすくなるためにはどうしたらいいのかを私なりにお話ししたいと思います。
ポイント1:先生と二人三脚で取り組もう
まずは師事している先生に相談し、どのように進めていくかを決めましょう。
今までどれくらいのレパートリーがあるのかはとても大事なポイントなので、受験生になる前にたくさんレパートリーを増やしておきましょう。
その中から自分が得意な曲や好きな曲を見つけていくのがオススメです。
ポイント2:何回か本番を重ねた曲を選ぼう
練習やレッスンで弾けていても、いざ本番になると思わぬ箇所で間違えたりして100%の力を出し切れず、悔しい思いをしたことはありませんか?
誰しも人前で弾くと緊張して予定外のことが起きたりするものです。
それでも場数を踏むと、その緊張感にも慣れ、さらに深いところまで音楽を作り上げることができるのです。
なので、最低でも受験前に1、2回はコンクールや演奏会に出ることをオススメします。
私はあまりコンクール経験は多くはない方ですが、コンクールは勝ち負けだけではなく、普段のレッスンの先生とは違う人から講評がいただけるので、どのように聴こえているのかを知ることができる良い機会になるかと思います。
さらに同年代の演奏は、とても刺激になるのでうまく利用していくことをオススメしたいと思います。
以上が音大ピアノ科に入るための課題曲の内容や、準備方法でした。
準備は早ければ早いほどいいので、この記事を見てくださった方は、ぜひ今日から取り組んでみてください。
音大受験を志している人たちへ少しでも役に立てたら嬉しいです。